カチャリ




蒼が戻ってきて、また椅子に座る。




これまで黙っていた蒼が口を開き、




「……で。季蛍はどうしたいわけ?



…熱がでても言わないでしょ?



体調崩しても言わないし。何があっても黙ってるよね?






……メリットなんて何もなくない?」








「……」








「高島も俺も、季蛍が言ってくれれば怒らないし、すぐ助けてあげる。


それなのに季蛍は言わない。だから酷くなる。季蛍も怒られる。デメリットだらけ」








「………」









「……なんで言わないの?…いつもいつも」









「…………よ」








「………何?」









「蒼にはわかんないよ!!高島先生にだって。



…私がどんな気持ちでいつも我慢してるかなんてわかりやしない!!


蒼に『熱でた』って言ったって、自分でどうにかしろって言われるの怖いの!!!




我慢すんなって言ったって、そんなことできる訳ない!!」







「だからって限界越してまでも黙ってる事ないだろ!?」








「……だって!!体も辛いけど…言う行為自体辛い!!


忙しい蒼に言うことがどれだけ勇気のいることかわからないんでしょ!!」









「これまでずっとそうだったろ!?


じゃあいつになったら言えるんだよ」









「だから!!




……もうッ本当わかってない…」