私が滅多にご飯を食べなくなった、と蒼に無理矢理連れてこられた院内の食堂。
「……ほら。健康的。……お米、味噌汁、魚、納豆」
向かいに座る蒼が腕組みしながら私が箸を進めるのを待つ。
「………やだ」
「やだはなし。……ほらあーん」
プイッと顔を背けると、ため息が聞こえる。
「……季蛍、全然食べないからさ。貧血気味じゃん。最近さぁ。
俺が気がつかないとでも思った?立ち上がるときしばらく手ついてる。見てるよ」
「………」
「目眩するんでしょ。……夜中も起きてる。知ってる。バレてないと思ったら大間違いだからな」
………こ、怖。
「……季蛍、こっち向いて」
「……」
怖すぎて、恐る恐る視線を向けると、蒼に頬を包まれる。
「……や」
「じっとして」
蒼の一言で呆気なく抵抗は無駄となる。
下瞼を下げて、首に手を触れてから「貧血ー」と呟いてまた腕組みする蒼。
「………悪い子にはお仕置きだな」
「えっ!?やだ、やたやだ」