「……やッハァ、ハァ…」
嫌がってから数分、興奮気味になった季蛍が、俺の袖を握る。
「……季蛍。大丈夫だから」
「んんッ嫌」
「…………ごめん、高島」
「いえ…」
ポケットから出した聴診器を滑り込ませる。
「ひゃっ………嫌ッ!!」
「……この手、何もしないでしょ?大丈夫だよ」
「でもッやっ」
「………落ち着いて。……そんなに追い詰めてもしょうがないでしょ?
………しー。
声あげると聞こえないから」
「……ヒック、ヒック、」
俺の袖をぎゅっと握りしめていた季蛍が、大分落ち着いた頃、俺の手が抜けると同時に高島も手を入れる。
「………や」
「大丈夫。そのまま。」
荒い呼吸を続けて、嫌と言う季蛍の心音を聞き取る高島。
あれほど叫んでいるから、聞こえないことにも無理はない。
けど、目を瞑って聞き取る高島。
「……季蛍、しー」
「……ッハァ、ハァ」


