──ガラガラッ
「んぁー!!やだぁッ」
逃げようとする季蛍の服を捕まえ診察室の中に。
嫌がっていた季蛍だけど、無理矢理着替えさせ、無理矢理抱えて連れてきた。
連れてくることも一苦労だから、当然薬なんて飲んでくれない。
「もー。季蛍…」
診察室のドアの取っ手に掴まって離れない季蛍を、抱き上げて椅子に座らせる。
「……グス」
「蒼先生に無理に連れてこられたの。可哀想にね。……でも嫌がる季蛍が悪いんだよね」
いつもにまして冷静な高島がパソコンから目をそらさず言う。
「もう帰りたい!!」
立ち上がろうとする季蛍を押さえ、
「熱が上がる前に薬飲まないと…辛いのは季蛍なんだから」
そんな言い聞かせ、聞きやしない。


