ぼーっと起きあがって体温計を挟む季蛍の正面に立つ。 ピピピピッ ピピピピッ 「鳴ってる。季蛍」 「……ん」 なかなか動こうとしない季蛍の服の中に手を入れて体温計をとる。 「……8度8分」 体温計の表示を見る俺のワイシャツのボタンを留めてくれた季蛍。 「ありがと。薬、飲んで。 そんで病院行くから着替えて」 「え!!やだ」 「やだじゃないよ。行くの」 「やだやだ、行かない」 「高島だから」 「絶対行かない」 布団の中に潜ってしまった季蛍に、溜め息しか漏れない。