それから三日ほどしたある日の朝。
子どもたちが皆実家にいるときの朝だった。
まだ起きない季蛍を軽く叩きながら起こす。
「遅刻するよー」
ワイシャツに袖を通して、季蛍がのそりと起きあがった正面にしゃがむ。
「……おはよ」
「…んー…。はょ」
「遅刻するよ。……早く着替えて」
「……ん。」
目をパチパチさせながら起きている様子。
「……ん?なんかここ、赤くなってる。
…虫にでも刺された?」
部屋着の胸元から覗く鎖骨辺りが若干、赤く腫れてるように見える。
赤くなっているところを軽く指でさすって、「ここ」と言うけど、
「ん、平気」
見もしないで寝室から出て行く季蛍。
…………。


