聴診器を抜いた蒼がパソコンに目をやる。
「……んー」
蒼がパソコンを見ている時、陽は逃げようとするから、体を俺が押さえる羽目に。
「動いちゃだめでしょ。陽」
「ん、だってー…」
「…………陽さん、次口」
圧舌子片手の蒼が陽に言うけど、陽は逃げるように俺に体を寄せる。
「…陽。あーんは?」
まるで子供に言っている気分なのだが・・・。
「あーん………」
「声だけじゃなくて。ほら、口開けて」
背後から陽の唇に手を触れ、軽く叩く。
「ほーら。開けて」
「やぁッ」
「……陽さん、ちょっとゴメンね?」
申し訳なさそうに陽の口に強引に圧舌子を滑り込ませた蒼。
そうでもしないと終わんないもん。診察…
「……うん、いいよ」
また蒼がパソコンに目を戻した。
「……陽さん、若干脱水症状気味だね。…点滴していく?」
首をブンブン振る陽に、ため息が漏れて
「飲み物飲ませなかった俺も悪い。
…悪いけど黙ってた陽も悪い。だから点滴受けて」
「やだッ」
「陽…………」


