──「蒼、起きてー。……おーきて」
「……ん?」
「ねーつ!!計って」
「……あ、うん」
モゾモゾ布団から顔を出し、体温計を受け取る蒼。
「……今日、仕事代わるね?…机にお粥、作ってあるから食べてよ?」
「え、いい。俺行く」
「そんなこと言ったって……」
ピピピピッ ピピピピッ
体温計の表示を見たらしい蒼が、すごい険しい顔をする。
「…どうだった?」
「……大丈夫そう」
「嘘ついた!!私には怒鳴る癖に。」
「…………」
苦笑いの蒼が出した体温計は
『39.4』
の数字を叩き出していた。
「…ね?仕事代わるから。時間、おしてるから行くね」
枕元の時計を見た蒼が、私に頷いて
「……ごめん」
「大丈夫。行ってきます」
「いってらっしゃい…」
蒼の力のない見送りで、家を出た。


