片方の手は季蛍の背中をさすり、片方の手は、季蛍の手首を握る。
この間に響く、
チッチッチッチッチッ
という壁掛け時計の音。
それが、季蛍の脈よりもうんと速い。
それは、脈拍が遅くなっていることを表していた。
「……季蛍、大丈夫?」
「うん、平気」
「……多分、高島か港が診てくれる。あと少しだから。頑張れ」
「……うん、」
安心したように微笑む季蛍だけど…
「あ。一応言うけど……信濃先生もいるから。誰かはわかんない。希望してきてないし」
「………信濃先生」
顔が曇ったのが、俺にもよくわかる。
「……でもまぁ、俺もいるし、大丈夫だ」


