カチ カチ カチ カチ
腕時計をこれでもかとぐらい睨みつけた。
季蛍がこの椅子に座ってから、早45分が経過した。
放置されっぱの季蛍はぐったり俺に体重を預けるばかり。
さっき、つい職業病的な衝動にかられ、酷く咳き込み、親の腕の中で泣きじゃくる子供を見て、つい
「順番譲ります」
なんて言ってしまったことを、少し…後悔しつつ。
医者として、…いや、医者じゃなくても、あの様子をみたら譲るのは当然のことのように思えたが、
「…苦しい」
なんて、涙目で俺の胸元に体重を預ける季蛍を見ては、少し…後悔した。
メニュー