「あー、薬飲ませるときに飴あげるって言ったら大人しく点滴受けてくれたの。かわいいー」
「飴?子供騙しですか」
「違うって。だって飴嬉しいでしょ?」
「まぁ……」
高島が頷く。
「へぇー!!蒼って私より果織ちゃんの方がかわいいって思うんだ!!
ごめんね!!かわいくなくて!」
そう叫んだ季蛍が医局から出て行く。
「あぁっ、違うってば……。
ったくー、すぐやきもち妬くんだから。」
「かわいいじゃないですか、そういうところ」
「……………まぁ」
「何デレデレしてんだよ。羨ましいなぁ」
と、芙羽が上目遣いで見てくる。
「……凜さんがいるでしょ。凜さんが」
「最近凜と一緒にいられないからさ。…なんか機嫌悪くて」
「陽もー。……『港のバカ、もう知らない』だよ、昨日仕事から帰ったときの陽の第一声。」
と、港が悲しそうに言う。
医者の奥さんは皆大変だ。
「休日も寝てるばかりだけどさ。陽、俺に気を使ってんのか…いつも静かに本読んでんの。」
「抱いてやればいいのに」
「抱いてるよ。起きたら抱いてるけどさ、なんか不機嫌っていうか………」
「『好きだよ、永遠に俺のもん』とでも言ってキスしてやれば」
と芙羽が言えば、顔をトマトみたいに真っ赤にして
「バカ。……うっさい」
と言う。
「…まーぁ、そんなことすんのは蒼しかいないけど」
「は、はぁ!?しないから。………し、しない」
「絶対嘘。」
と芙羽が若干ニヤニヤしながら言う。


