手をつけてはお箸を置いたり。
口に運んではやっぱりやめたり。
その繰り返し。
結局、日が落ちてきた頃も、1人で医局でお弁当と戦っていた。
「……まだ食べてたの?」
そう言うのは高島先生で。
ファイルをドサッと机に置いて、私の隣に腰掛ける高島先生。
「………体調悪いわけじゃないんでしょ?」
コクリと頷く。
「…食欲ないの?」
「…はい」
「家で食べてるの?ちゃんと」
「夕飯は……ほとんど食べないです。蒼が作る野菜雑炊、蒼に食べさせられますけど」
「………野菜雑炊。…ちゃんと食べてる?蒼先生が食べさしてくれて。」
「……いや。食べても一口、二口」
「それは心配するよ。蒼先生」
「だ、だって全然食べる気しなくて…」
「食べてない…ねー…………」
腕を組んで、んーと背もたれに寄りかかった高島先生が、
「ちゃんと食べないと、また倒れるよ?
…少し食べなきゃ。昼は特に。」
「………でも」
「蒼先生がもう少しで戻ってくるから。多分……………………あ。」


