それから、午後の外来が始まる時間になっても手の進まない私を見て、ため息をついた蒼が、
「外来が始まっちゃうんだけど。…全然進んでないじゃん」
と、お弁当箱を指差しながら腕時計を見る蒼。
「…。」
「季蛍はないんでしょ?外来。……じゃあちゃんと食べててよ。わかった?」
「…………」
「わかった?」
「……わかった」
「仕事、たまってるのはわかるけど。…ご飯食べないと体持たないから。
たまってるなら手伝ってやるし。…無理するなよ」
頭を撫でた蒼が、医局から出て行く。
「……蒼先生、優しいね」
高島先生が隣で囁く。
「…でも意地悪。無理矢理ご飯食べろって言うし。」
「季蛍の体を思ってだろ?……手伝ってくれるって言ってるんだから。また入院になったらイヤでしょ?」
「………はい」
「じゃあちゃんと食べること。蒼先生の手作り弁当なんだから。」
と、ファイル片手に医局を出て行く高島先生。
「………食欲ないのに」


