「蒼先生!!蒼先生!!
大ニュースですよ」
紙をパッタパッタさせて医局に飛び込んできた高島先生。
「果織ちゃんの体調が良くなりつつあります」
「ほんとー?……熱とか下がってる?」
蒼が箸を奪って、玉子焼きを私の口元に運びながら言う。
「今朝何度ですか?」
「今朝はー…ちょっと待って」
玉子焼きと箸をお弁当箱に戻した蒼が、ファイルをペラペラ捲って
「…8度ぴったり」
「で、先ほどは7度6分まで下がったんです」
「おー。……薬が効いたな。」
またファイルを戻して、箸を持って玉子焼きを口元に運んでくる。
「…イヤ」
顔を背ければ
「いい加減にしなよ。……じゃあこれ」
次に箸が近づいてきた時には、お花の形をした人参で。
「……煮物。食べて」
忙しい朝にわざわざお花型に切ってくれる蒼の優しさに、少し申し訳ない、と思っていながらも…
食べない。


