お色直しの時間、苦笑いのスタッフが俺を呼ぶ。
何事かと季蛍の元へ行けば、泣いている季蛍。
「……え、なんで泣いてんの?」
「……わからないです」
「……季蛍。メイク崩れちゃうよ」
「蒼…」
「……なんで泣いてんの。」
「……………だって、私ホントに蒼と、」
「俺と?」
「………け、結…婚」
「……信じらんないの?」
コクリと頷いた季蛍に、笑みがこぼれる。
「……何言ってんの。結婚式でそんなこと言うなんて思わなかったんだけど、ハハ、ほんとあれだな、季蛍…」
「何…」
「………かわいい。
……今日の季蛍、一番綺麗だよ」
「………」