「………バカ」
何メートルも離れる俺と季蛍。
だけど、季蛍の口元が、確かにそう動いた。
その後、
「バカ!!」
「……」
「バカ、バカ、バカ!!
何時間待ってたと思ってんの!!
バカ、バカ……ッハァ、バカ………ほんと、バ………カ」
「……。」
「信じらんない、遅刻なんて!!バカ!!」
季蛍の頬に涙が伝う…。
「ずっと、ずっと、待ってた!!
もう嫌い!!大ッ嫌い」
「……ごめん」
「やだ、もう、嫌いっ」
……季蛍が怒るのも、無理はなかった。
季蛍はちゃんと、綺麗な格好をしていたけど、俺は家に戻る暇もなく…ワイシャツにネクタイのいつも通りな俺だったから。
………クリスマスイブに食事する俺じゃない。
「……も、ば…か……ッハァ、」


