「…んふふー」
………だめだこりゃ。
「季蛍、なんか嬉しそうだけど熱計るよ」
「やだっ」
「………何で?」
「さっき計ってみた…」
「………いくつ?」
「…………7度5分」
「嘘ー。……もっとあるよ。……8度はある」
「ないー…」
「俺の手をなんだと思ってんの。………ほら、服開けて」
ボタンを手際よく外して、体温計を挟んで両腕を押さえる。
「……あ。……そういえば、蒼」
「なに?」
「………」
………大丈夫かな、季蛍。
「……ねぇ、季蛍。ご飯食べた?」
「…」
「食べてないんだ?……吐いた?」
「……」
「吐いたんだ。……水分は?とってた?」
「………」
「とってない、ね。」
「………バカ」
「言わない季蛍が悪い。」