コンコン
港の診察室をノックする。
「はーい」
ガラガラッ
「……港?」
「蒼…。どうした?」
「……なんで璃子ちゃんのところ行かないの?点滴まだ刺してないでしょ?」
「……」
「………璃子ちゃん、寂しそうに折り紙折ってたけど。」
「……璃子ちゃん…のさ、飼ってた犬が昨日死んじゃったんだよ。」
「犬?」
「………昨日、璃子ちゃんの母親から連絡来て。璃子ちゃんに伝えて下さいって言われたから。伝えたんだけど…。
……昨日一晩中、ずっと泣いてて。
…俺もずっとそばにいたんだけど。
退院して、せめて最後に見たかったって。
俺、璃子ちゃん見るの辛くて。すごく仲が良かったって。犬と、璃子ちゃん。
すごく可愛がってたって。
なのに、退院する前に…。なんか俺のせいのような気がして」
「……は?なんで?港は別に…」
「俺が璃子ちゃんを治してあげれれば退院できたから」
「…………港」
「いや、退院できないことも、落ち着くまで様子見だから俺が何かしたから治るって訳じゃないけどさ。
…でも、医者の無力さを感じる」
「……そんなこと」
「わかってる、わかってるけど…」
「……俺がいれてもいいなら点滴、刺してくるけど。」
「…………ごめん。
今日だけ……お願い」
「…わかった」


