「……何か同じ気がする」
ポツリと呟いた蒼先生に、宮川さんが
「…入院当時とですか?……私もそんな気します」
「だよね。………果織ちゃんなんかあったかな?」
「特に変わったこと、なかったんですけどね」
「俺もそう思う。……でも…風邪じゃないっていうかさ。」
ピピピピッ ピピピピッ
「……9度2ですね」
「そっか……。高いな。点滴するか」
「持ってきます」
「ごめん、ありがとう」
宮川さんが病室をでて、蒼先生が席を立ち果織ちゃんの体温計を取る。
「…………聞いた?入院当時のこと」
「聞きました、宮川さんに」
……なんでわかるんだろう。って思ったけど、蒼先生だもんね。
「……精神科に連れてくってのも、一つの手だったんだよね。……だけどやっぱりさ、ほら…。可哀想じゃん。
……いつも通りの周りで…そのまま治してあげたかったから」
「………」
「難しいよね。子供は」
「ですね…」
「果織ちゃんのお母さんがさ、病院に検査に来たときさ…果織ちゃんが中庭に行ってて。
……あれ以来、中庭に行くと思い出すんだって。妹と遊んだこと。」
果織ちゃんを診察しながら言う蒼先生。
「……その、お母さんはなんともなかったんですか?」
「うん。入院の必要もなかったし。でも…果織ちゃんがね。思っても見なかったって、家族の人」
「ですよね………。」


