「季蛍ー行くよ?」
「はーい待って~」
朝からどれを着ようかと迷っていた季蛍。
家を出る直前になっても、悩む…季蛍。
「まだー?」
「…ごめんね」
と慌てて玄関に来た季蛍。
「……ったく、遅すぎ。……2分遅刻」
「ごめん……」
「ほら行くよ」
上野家の遊園地に誘われ、俺と季蛍は家を出た。
いい年になって遊園地。
少し笑える。
どうやら元はと言えば、2人で行く予定だったらしい。
なのに、陽さんから一緒に行きたいと言われた港が俺らを誘った。
だって……なぁ?
いい年した人たちが遊園地ではしゃぐのって。
でも、かなり楽しみにしていたらしい。季蛍。
「ねーえ、これどお?」
とクルクル回る季蛍。
夏色ワンピースとでも言うのかな。
「かわいいよ」
「どう?どうかわいい?」
「……すごく」
「えへへー。蒼もかっこいいよ」
…………。
「ありがと」
…としか言えない俺。
「顔あかーい。」
「うっさい」