背中をさすりながら、言葉をかけてくれているみたいだけど…
意識が…………。
その時、知っている温もりと、知っている声が耳に届く。
「季蛍、……落ち着け。なんで吸わないの?吸入」
………あ、吸ってなかったんだ。私。
通りで芙羽くんが焦っていた訳だ…なんて思いながら目を閉じる。
「季蛍さん?……蒼?季蛍さん…」
「……あ、季蛍…意識飛ばすなよ。ほら、吸って」
「……んー…ケホケホ、」
「ゆっくり息して。……ほら、吸ってってば」
慌てる芙羽くんと、冷静な蒼。
「季蛍?季蛍……────────
その声を最後に、私は意識を飛ばした。


