果織ちゃんを腕に抱き、片方の手で検査結果を読みつつ、医局のパソコンを見る。
忙しい…。
今日は急患の人数が多くて、あちこちバタバタしている。
ただ、その中であと数時間で出張へ行く高島が、
「季蛍が…」
と呟く。
「んー?季蛍がどうかした?」
検査結果に向けた視線はそのままで、高島に返事。
「……季蛍がソファで倒れてるんですけど」
と、スーツを整えながら。
「……あれ、高島もう行くの?」
「あ、いえ。あと1時間くらいです」
「あぁそう。……で、倒れてるって?」
「なんか若干…熱があるような」
「はぁー。……風邪?」
と言いつつ抱えている果織ちゃんが落ちないようにしっかり抱え、ソファまで。
検査結果と果織ちゃんで両手が埋まっている俺は、季蛍に触れることが出来ないんだけど。
「季蛍ー?……どうした?」
「………」