トントントンッ…… トントン…──── ジュー……… ジュー──────── キッチンからは包丁の音と、炒める音だけが響く。 そして、煮込みの段階に入った頃…。 蓋を閉めて、キッチンから寝室へ。 そっとドアを開けて中に入り、ベッドサイドの明かりをつけた。 ………。 眠る陽の頬には涙の跡。 そして今も、涙が少し流れている…。 「……陽」 小声で呟いたあと、手でそっと涙を拭う。 ……そんなに楽しみにしてたのか。