でもその一時間半の間、何度か体温計の鳴る音がした。
だから陽は起きて、自分で計ってるんだと思う。
それで下がってなかったから、俺を呼ばない。
……はぁー。全く、どれだけ買い物行きたかったんだ。
寝室のドアを開けると、さっきより辛そうな息を繰り返す陽がいた。
「…陽ー?」
「やだ……」
「熱、もう一回計ってみて。」
「あっちいって…」
だいたいこれでわかるんだけど。
あっちいってってことは、熱が上がってたから計りたくないってことだろ。
「……陽。教えて欲しいんだけど、熱。」
「……やーだ」
「やーだじゃない。……ほら」
また服のボタンを開けて、体温計を挟む。
「……やだ。」
「すぐ鳴るんだからじっとしてて。」


