季蛍から果織ちゃんを引き継いで抱きながら、俺は医局で考える。
……どこにいるんだ?
「……蒼先生、果織……血液検査しない」
「看護士さんから脱走したの?」
「だって‥‥失敗されて痛かったもん」
「失敗?……島内さん?」
「…ううん。いつもの看護士さんじゃなくて新しく来た人」
「ふーん……。じゃあ後でもう一回やろう?できてないんだったら。」
「……やだ。また失敗されるかもしれないもん。」
「大丈夫だよ。その看護士さんも探してると思うよ」
「ううん、違くて、季蛍先生がね、やってくれるって言ったんだけど…怖いから泣いたんだー。
……そしたら蒼先生んとこ行こっかって季蛍先生に言われたんだー。」
「あぁ、じゃあ看護士さん知ってるんだ。じゃああとで行こう」
「…………蒼先生がやって?」
「ん、わかった。じゃあ先生やるから行こうか」
「うんッ」