しばらく寝ていた気がする。




気づけば服の中にはお兄ちゃんの手が入っていて、聴診器が当てられていた。






「……お兄ちゃん」







「あ。おはよ」







服の中に入っている手が、私の服の中を行ったり来たりしている。







「………」







「オッケ。……風邪じゃない?」







椅子を引いて机に聴診器を置いたお兄ちゃんが、圧舌子を持ってまた近づく。






「…体起こして。んで口開けて」








「……なんで産婦人科にそれあんの」







不満げに言うと、







「あとで看板見てみな。小さく内科も書いてある。」







「……知らなかった」








「ん、ほら体起こして」








「……うん」







支えられながら起きあがって、壁に寄りかかる。







「口開けて」






小さく口を開ければ、圧舌子を入れられ口を大きく開ける羽目に。







「………蒼くん帰ってきたら自分でいいなよ。病院にいったことも。処方箋出してあげるから。」








「……ありがと」








「………いつでも来いよ。」









そう言うお兄ちゃんは、どこか懐かしくて、少し安心した。








「じゃあ…帰るね」







「何で来た?車?」







「歩き。…熱もそんなないから平気、」








「そう。気をつけて帰れよ」








「ありがとう。じゃあね」






「うん」