「港、来てくれるって信じてたよ。来ないって分かってたけど…信じてたよ。どこかで」
「陽…」
「ホントに来てくれる……んだね、港。…童話の王子様みたいだよ、フフ」
怠いはずなのに、無理して作った笑顔で俺を安心させようとする陽。
「……港、いてよかった。港が私の彼氏で良かった。
あと…お医者さんだったこともね。
…忙しくて、なかなか会えないし、デートも断られてばっかりだし…。
正直寂しいし、もっと会いたいし話したいけどね…。
私は働く港が大好き。
…助けてくれる港も好き。
今日もこうして助けてくれたのは…港がお医者さんだったからだし、…ほんとに、ありがとう………ね?」
「…………陽、ッ」
思わず出てきそうだった涙をこらえた。
……寂しいのに、断られてばっかりだって、それほど寂しい思いをしてるのに……。
我慢してくれている陽…。
それなのに、陽からの連絡を待つだけで自分から連絡しない自分。
四週間の間、陽がどんな思いで携帯電話を見つめていたかを考えると…涙がこみ上げてきた。
「……ほんとッ…ごめんな。
……会えなくて、断ってばっかりで…。
ただのデートすら出来ないし、会うことだってできないし。
声すら……………
ごめんッ……………」


