その時、トンットンットンッと、階段を上がってくる気配を感じた。 ……もしや? と思って振り返ると、50代前半くらいのおじさんで。 酒を飲んでいるのか、少々顔が赤い彼は、俺の目の前に立つ。 …………は? もしかして、この人が陽の……? そう思うと、なんで?としか言葉が出ない。 「………あの」 彼に多少イラつきながら声をかけた。 「陽の彼氏ですか?」 なんて言葉が率直に出てしまった。