ここで服のボタンを開けるのもどうかと思ったが、少し開けて体温計を滑りこませた。




さっきまで少し俺に、寄りかかっていた季蛍だったけど、急にズンと重くなったので我慢していたんだと思う。








肩で息しながら、俺の白衣を掴んで寄りかかる。






この光景を見れば特別に患者さんをここで診ているようにも思えるかもしれない。







……まぁ患者さんは寄りかからないか?







ピピピピッ  ピピピピッ




「……うわ。9度7?こんなにあるとは思わなかったけど。……高島、ベッドあるか聞いてきて」







「あっハイ」







さっきから走りまくりの高島。




ごめんな………なんて心で呟いてみる。








「蒼先生~ここ開いてますー」






と、遠くから言う高島の元へ季蛍を運ぶことにした。







「……季蛍、歩ける?」





「ん、大丈夫…」






季蛍の腕を支えながら立ち上がって、一歩歩いた季蛍だけど…。






そのまま座り込んでしまった。






「ダメそうならダメって言っていいよ?季蛍。……辛いの季蛍なんだから」






両脇に手を入れ立たせて抱えた。





姫抱きにされた季蛍は俺の首の後ろに手を回す。




完全に体の力が抜けている季蛍は、油断したらここからでも落ちてしまいそうだった。





「手、離すなよ。すぐだから」