──────22:00
「季蛍。寝なよ」
「眠くない…」
「だめ。……明日退院だし」
「早く退院…したい。早く家帰りたいな」
「病院も快適だろ?」
「蒼がぎゅってしてくれないの嫌。……人目気にするの耐えられない」
「……………」
「だから…今ぎゅってして?」
「……じゃあ寝る?」
「寝る。寝るから…」
「いいよ。……」
季蛍が左に寄り、俺は季蛍が手招きする布団の中に潜る。
白衣を着た医者が、ベッドに潜るなんて変な話だ。
でも、今はただ季蛍を寝かせるだけ。
寝かせたら俺も医局へ戻る。
「………寝な」
「うん………。蒼、行かないでね」
「寝るまでな」
「うん」


