「何?喧嘩?」





「……私、蒼のこと怒らせちゃって」






涙ぐむ季蛍がソファに腰掛けて、俯く。








「……なんで?」







「……私熱あるから、蒼が仕事行っちゃダメだって言うんです。でも、……反抗しちゃって」








「……熱あるの?」







「昨日診てもらったんです。信濃先生に」








「し、信濃先生に」








「……で、今朝…。

『私を子供扱いしないで』って怒鳴っちゃって…それから止められなくなって、もう私に構わなくていい、


まで言っちゃいました…………」








「……え。……蒼先生になんて言われたの?」







「…熱が下がってないし、まだ顔色が優れないんだから行くな…と。」







「で、反抗しちゃったの?」







「はい……。もう、蒼昨日いろいろやってくれて、私のために病院まで連れて行ってくれて…
ッ。

もう、優しいのに、優しすぎるのに、私が…ッッ」






「……季蛍、落ち着いて。……そんなに追いつめてもしょうがないよ。自分のこと」










「……もう、優しくするから、蒼が優しくするからッ…。

こんな私に優しくしてくれる蒼見てると、なんか苦しくなっちゃって、もう苦しいッッ




……熱でる度に優しくしてくれる蒼に申し訳ないし、こんな体イヤッ。




こんな体で…蒼とずっといると負担かけるのは…私だし、ッハァハァ……」









「……季蛍。」








興奮している季蛍の背中を軽く叩きながら落ち着かせる。