それから30分が経過したとき、名前が呼ばれた。 もうぐったりと体重を俺に預けていた季蛍を抱えて、診察室まで行く。 「……やだ」 「ここまで来たんだから。…少しだけ」 腕の中の季蛍は、本当に怠そうで、顔色も優れなくて……血の気が引いていた。 ガラガラッ 「あ。」 今見えているものが、想像じゃなければ… 季蛍を診るのは、信濃先生らしい。