少し落ち着いた頃、洗面所に運ばれて、また洗面所で戻す。
怠くて座り込んでしまうので、蒼がずっと支えてくれていた。
何も食べてないこともあって、でるものがなくなるまで戻し、落ち着いたら水で口を濯ぐ。
「……ごめ…、服……」
なんとか絞りだす声で、涙目になっているとわかっていながら蒼の目を見て言えば、
「気にすんな、全然平気だから。……気づいてやれなくてごめん。
気持ち悪かったのに」
と、ぐったり壁に寄りかかっていた私にそう言う蒼……。
職業が医者なんだから、一日中、そのようなものを見ているし、毎日そうしていれば気にならないのかもしれない…
が、やっぱり服を汚されて気持ちいい感じはしない。
それなのに、「大丈夫」と微笑みかけられると、蒼がどんなに優しいかが身に感じる。


