「やだ…」
と言って、ボタンを外す俺の手を掴む季蛍。
「だめ。自分で計らなかったんだから」
体温計を挟んで、動かないように腕を押さえた。
まぁ、熱があることを隠さなかったことだけはいいとして…。
ピピピピッ ピピピピッ
「……8度3…ね。」
それを聞いて、余計に潤む季蛍の目。
「…泣くな。それより季蛍、寝室行って。」
ボタンを留めながら言う。
「汗かいてるし、服着替えよう。とりあえず寝室」
ゆっくりと立ち上がって寝室へ行くのを見て、体温計の表示を消して机に置いた。
そして、季蛍が入っていく寝室に俺もあとを追うように入る。


