「ちょっと脈早いけど。…熱計ってみたら?」
ご飯を流し込む俺の隣で唸り始める季蛍。
「どこが怠いの?」
「………暑い」
……それどちらかと言えば怠いというより。
「ほら、計れ」
ワイシャツの胸ポケットから出した体温計を、突っ伏する季蛍のだらんとした手の中に渡す。
「……計りたくない」
「ダメ。」
「………やだ」
「季蛍。」
「少し怠いだけだから熱はない……。」
「ったく。ごちそうさま。」
食器をキッチンへ運んだ俺。
そして、まだ手の中に体温計をほったらかしにしている季蛍。
その手の中から体温計を取って、季蛍の肩を起こして、体を起こす。
「……計れって言ったでしょ。」
若干潤む季蛍の顔色を見つつ、服のボタンを外す。


