「季蛍。手首貸して」 「……うん」 「…はぁ。季蛍ってば」 「……………………うん」 右手は箸を持っているので、左手を伸ばして季蛍のだらんとする手首を掴む。 右手ではハンバーグを口に運びながら、左手では季蛍の脈をとりながら。 「………季蛍、何、怠い?」 箸をいったん置いて、突っ伏する季蛍の首に手を当てる。 「……。」