──怠い体、朦朧としている意識。
それを目覚めさせたのは、港からの一言。
「蒼、今から高島が診てくれるよ」
「は?」
ただでさえ頭が痛いのだ。
ただでさえ思考が追いついていないのだ、俺が倒れたこと自体。
なのに、高島が俺を診る…?
ああ、余計に思考回路が…追いつかない。
仮眠室から港に腕を引っ張られてズンズン歩いていく港。
「どこ行くのー……」
と、力のない声で言う俺の言葉になんか耳を向けず、
「高島が診察室で構えて待ってるぞー」
なんて言うもんだから、熱と怠さで少々鈍りつつある俺の思考が、
診察室で高島が力士のように構えて待ってるのか、とでも思った。