もう高島に頬包まれて、たかが喉をみるだけに数分かかってる。
しかもその数分の間、医局で医師二人に、こっちがどーだやら、そっちだやらと、顔を振り回される果織ちゃんが可哀想すぎる。
「あ。だったら高島が見れば良くない?なんだ、簡単なこと」
「あ。そうですね、僕がせっかく顔固定してたのに」
「そうだよ。高島、みてあげて」
「……あ。蒼先生、僕がその、蒼先生が持ってるファイルとコーヒー一回持てばいいんじゃないですか?」
「………え」
「こうして、僕がコーヒーとファイル持ってる間、蒼先生が診れば」
「あーあ。確かに。でも今更?高島でよくない?この際。」
「………果織ちゃんはどっちがいい?」
「蒼先生」
「………あ、あ、そ、そうだよねー。…担当医だしねーー…………」
……高島、自分で聞いたくせに傷ついてるし。
高島にコーヒーとファイルを渡して、果織ちゃんの頬を包む。
「………ん。風邪引いた?果織ちゃん」
「でも、喉以外は大丈夫なんだよ」
と、果織ちゃん。


