…んん、この患者さんの検査結果良かったー。
あ、再検査ね…
とか1人でブツブツ思いながら、ペンを走らせていると、
「あぁ゙………」
と、高島が医局に戻ってきた。
「お疲れー。どうだった?大丈夫そう?」
検査結果からは目を離さずに、聞くと返事のない高島。
「……おーい」
振り返ると、机に突っ伏している。
「…おい。高島ー?どうしたんだよ。どうだった?」
「…季蛍に…………季蛍に…断られました」
「……え?」
「『聴診やだっ』と。」
「……あらら。ご愁傷様」
「……あぁ。蒼先生どうぞ。行ってきて下さい」
「もっと粘り強くやれば良かったのに。『主治医としてやらなきゃ』とでも言っとけば静かに診察受けてくれるって。」
「『主治医として』『蒼先生に頼まれた』
『少しだけだから』『季蛍、おねがい』
全部ダメだった俺はどうすればいいんですか…」
「……俺行ってこよ。
じゃあ高島、ほら気分転換に患者さんの検査結果ちゃんと読んで。後で聞くからな。誰がどうだったか。」
と言い残して、医局を出た。


