「マフィン、食べるか?」
「買ってきて…くれたの?」
「当たり前」
「……ありがとう」
「食べる?明日でもいいけどね」
「………明日にしようかな」
「わかった。じゃあ俺は一足先にいただきますー」
と、マフィンを口に入れる。
「…………おいしい?」
と、涙を手で拭いながら言う。
「うん、おいしいよ。」
「…………一口、ちょうだい」
「いいよ。」
食べかけのマフィンを口に持って行けば、ゆっくりと食べた季蛍。
「……」
モグモグ口が動いたあと、ゴクリと飲み込んだ季蛍が、
「……………おいしい、すごく」
と、涙目で微笑む。


