「蒼ー!こっち」
港が手を振る方向へ急ぐ。
「どうした?連絡全然繋がんなかったけど」
「ごーめん。ホテル出てから気づいたんだけどさ。充電がさ」
「なかったのか?」
「うん。ごめん」
「高島が心配してたよ。あと……季蛍さんも」
「悪いことしたな。」
「それより、季蛍さんさっき意識とばして。高島がね、いたから大丈夫だったけど、辛そうだよ。
トイレの前で倒れてたんだって」
「…発作か?」
「うーん…。俺はわかんない。高島が診てたから」
「そっか…」
港についていき、一つの病室の前で立ち止まる。
「……俺、いない方がいいかもだから。蒼、行ってやれ」
「ありがとうな。助かったよ」
「ううん。大丈夫」
病室のドアをゆっくり開けて、中に入った。