診察室のドアを開けると、看護士が困った顔へベッドの上にある掛け布団の丸い固まりをトントン叩いている。 「季蛍せんせぇ……。どうなさったんですかー? 季蛍先生…。………………あぁ、蒼先生」 「…ワガママ言ってんの?季蛍」 「…出てこないんですー。」 「………はぁ…ったく。」 「怠そうにしてましたけど、どうされます?季蛍先生」 「………ちょっと季蛍に聞いてから考える」 「わかりました」 「……季蛍。………………きーほ」 掛け布団をトントン叩くけど、身動き一つしない。