緒方を保健室に寝かせると、


「運んでくださってありがとうございました!!」

「いえいえ、可愛い後輩ですから~あ、夏日ち ゃんだっけ?」

「は、はい!!あれ?でもどうして…」

「そりゃまぁ、学校中で有名だし~」


あれだけの演技力があれば有名になって当然だ。
まぁ、俺が夏日ちゃんを知っているのは違う理由なんだが…


「俺は野球部3年の谷川。緒方が熱あるって知って帰るように言ったんだけど、かなりフラついてたから心配で来てみたら案の定倒れてやがる 。」

「そうだったんですか…朝いつも通りだったので気づきませんでした…」

無理もないだろうな、俺もあのノックが無かったら気付かなかった。
倒れるくらい辛かったのに…

「あいつも俺に言われて気づいてたから無理ないよ。馬鹿にも程があるよなー」

苦笑まじりにそう言うと彼女も苦笑しながら、

「ですね。私も寿命を縮められました。」

ふと時計を見るとノックが終わる時間だ。

「じゃあ俺、そろそろ練習戻るわ。緒方をよろしく!!」

「はい!!」

俺は保健室を後にする。