(セス…君にはどんな過去があったんだろう?
君はあの子達にお金よりずっと価値のあるものを与えているのに、君はそのことにまだ気付いてないんだね。
……いや、気付いていても認めていないだけなのか…)

セスの後ろ姿をみつめながら、フォルテュナは心の中でそんなことを呟いた。



(セス…君のおかげで僕は変わった。
今の僕なら…君が泉の水をもらいに来たら、きっとすんなり飲ませてしまうだろうね…)



フォルテュナは小さな家の扉の前に立ち、くすりと笑う。
そして、先程、セスから預かった鍵を鍵穴に差し、ゆっくりと回す。
かちゃりという鍵のはずれる音がして、フォルテュナがドアノブを掴み扉を開くと、フォルテュナの目の前は白一色に塗りつぶされた…