「フォルテュナ!
どうしたんだ!?大丈夫なのか!」

フォルテュナが目を開けた時、目の前にはセスの顔があった。



「わっ!」

「えっっ!?」

素っ頓狂な声を上げたフォルテュナに、セスは今まで掴んでいたフォルテュナの肩を離して飛び退いた。



「な、なんだよ。
びっくりするじゃないか…!」

「ご、ごめんよ。」

「それより…大丈夫なのか?」

セスは、心配そうな顔で再びフォルテュナの顔をのぞきこむ。



「大丈夫って…何が?」

「何がじゃないだろ!
突然黙りこんだと思ったら、ぴたっと動かなくなって…」

「動かなかった…?
ねぇ、セス、僕、どのくらいおかしかった?」

「どのくらいって…そうだな。
20秒…いや30秒くらいかな?」

「30秒…!?」

フォルテュナがふと目を落とした蝋燭は、まだほとんど溶けてはいなかった。



(まさか…
今、僕が見ていたものがたったの30秒だったっていうのか…?)

フォルテュナは、混乱した頭を抱え、ベッドの上に座りこむ。



「どうした?気分でも悪いのか?」

セスが、フォルテュナの隣に腰を降ろした。



「そうじゃないんだ…
ただ……」

「ただ、何なんだ?」

「……セス!確かこの国は大昔に滅びたって言ってたよね!?
どうして?どうして滅びたんだい?」

フォルテュナは、セスに詰め寄った。



「な、なんだよ、いきなり!
詳しい事は知らないけど、多分、疫病か何かじゃないか?」

「……違うよ。」

「……違う?」

「可哀想に……」

そう言ったきり、今にも泣き出しそうな顔で黙りこんでしまったフォルテュナに、セスはただおろおろとするばかりだった。