フォルテュナはその場にうずくまり、涙を流す…
進む事も戻る事も出来ず、心の中まで真っ暗な闇に染め上げられて身動きが取れない…

怖くて心細くてどうしようもなくて、つい、助けを求めてしまったフォルテュナと、自分の中にそんな感情があった事を信じられない想いで感じてる冷静なフォルテュナがいた。

うずくまったまま、ただ、ただ、熱い涙を流し…
ついには、大きな声をあげ…
それでも、どこからも助けが来ないという現実に狂ったように泣き喚き…




やがて、疲れ果てたフォルテュナはいつしか深い眠りに落ちていた…







どのくらい眠っていたのかはわからない…

目が覚めたのと同時に感じた頭痛に、フォルテュナは、今も自分が生きていることを実感する。



こんな場所で、あとどのくらい生きていられるのかはわからない…
この暗い穴の中で出口をみつけられないままに食料や水を失い死んでしまうかもしれない…
もしくは、不安と恐怖に犯されて、自らその命に区切りを付けてしまうかもしれない…



(それでも、今はまだ僕は生きてる…)



フォルテュナは、立ちあがり歩き始めた。
これまでと同じように片手を壁に付けながら、ゆっくりと…

どこまで行っても、黒…黒…黒…
真っ黒に塗りつぶされた細い道を、狂気に押し潰されそうになりながらフォルテュナは進んで行く…



(出来ることならいっそ、気が狂ってしまえば良い…
そうすれば、こんな恐怖を感じなくて済むのに…)







ある時…フォルテュナの瞳に、黒ではないものが飛びこんで来た。

ついに、気が狂ってしまったか、それとも、目の機能がおかしくなったのか…

まるで、惰性で動いているかのような…もはや自分の足なのかどうかさえよくわからない足が規則的に進んで行くうちに、それは、だんだんと大きくなっているように思えた。



(……まさか……)



少しずつ…少しずつ、進んで行くにつれ…
真っ黒の世界に違う色が継ぎ足されていく…



フォルテュナの瞳に、溢れ出しそうないっぱいの涙が浮かぶ…




(……光りだ……)




フォルテュナは目の前の光りに向かって駆け出した。