春爛漫。


私、水城悠理は無事、進学校の南高校に入学いたしました!!


入学早々、親友が出来ていい感じだし、


勉強もそこそこついていけてる。


《あとは好きな人かぁ…》


そんな充実した日々に嵐は吹いた。






家庭科の帰り道。


私は親友の志穂と美月と一緒に教室へ向かって、階段を上がっていた。



「次は部活動紹介だねー。悠理はどこ入るの?」


「んーーー、書道とかしたい。っていうか日本古来からあるものしたい。」


「剣道、空手、柔道、茶道、弓道。いっぱいあるよね。」


美月が上を向きながら、指折りしてこの学校の和の部活をあげていった。


「そーなんだよねぇー、悩むなぁ、お兄ちゃんが剣道しててさ。剣道やれってうるさくて。」


「嫌なの?」


すかさず志穂が怪訝そうに挟んでくる。


「ほら、あれじゃん?やれって言われたらやりたくなくなるってやつ。」


私はげんなりしながら、お兄ちゃんの剣道いいぞアピールを思い出していた。


「もー、なに捻くれてんのよっ」


美月は手で口を押さえながらクスクス笑っている。


階段を登りきりそうなとき、目の前を早足で着物の男が過ぎ去った。


「うわっ…」


私は足を止めて、目をパチクリした。



「ちょっと、悠理。大丈夫?」


志穂が背中を支えてくれ、心配してくれてるのを遠くに聞きながら、私は目の前通り過ぎた男の人に目を向けた。



「今の人…」



「んー、悠理が入りたがってた、書道部っぽいね。」



私のつぶやきを聞いていた、美月はすぐに教えてくれた。




「書道部…」





私はそのとき心臓がトクン…と鳴ったのを聞こえなかった。



…いや、聞こえないふりをした。