「大丈夫?」

「ふぇ?あ、……はい」




私を助けてくれた男の人は、私の方向に笑いながら振り返った。



笑った彼の顔は、とても綺麗で。



えくぼが特長で、大きな黒目がきらきらと光っているように見えた。




「…あ!」



彼の左の二の腕に、さっきの男のナイフが刺さって、彼の着ていた黒色のカーディガンに真っ赤な血が滲んでいた。




「ご、ごめんなさい…私のせいで…」

「別に。このくらい慣れてる」



彼は包丁をすっと抜いた。



包丁には、彼の血がたくさんついていた。