「傷口拭かないとばい菌が入っちゃうんです。消毒液まで買うお金はありませんでしたけど…」 「放っといても、どうにもならないと思うけど」 「駄目ですよ! あ、はい出来ました」 丁寧に包帯を巻いて出来上がった、手当て。 「上手だ」 「えへへ。小さい頃、お母さんに習ったんです。前は必要ないかなって思ったんですけど、役に立ってよかったです」 私がにこりと微笑むと、彼も微笑んでくれた。