「あの・・・すみません。大丈夫ですか・・・?」
そう言って無様な私に手を差しのべたのは、さっきぶつかってしまった相手のようだった。
小さく弱々しい手。
貧弱そうな顔色。
身長からするに、どうやらまだ小学生か中学1年くらいのようだ。
「あ、ううん。いいの、全然。」
もしも“あのとき”こんな感じで渡神先輩に接していたら少しは好感度があがっていたのだろうか。
「ごめんね、ぶつかっちゃって。怪我とかない?」
もしもこんな風に接していれば、少しは先輩の心に私が残ったのだろうか。
「・・・はい、大丈夫ですけど・・・・・・」
「ほんとに?」
「ええ。でも・・・・・・」
・・・ほんとに私はバカだ。
「泣いてるんですか・・・?あの・・・大丈夫ですか?」
年下の子にまで心配させるなんて・・・―――

